Kazenosawa Museum

風の沢ミュージアム

2023年 企画展

Kazenosawa Museum

風の沢ミュージアム

2023年度企画展

つづり思考

浅野友理子 展

つづり思考

 山々に囲まれた栗原の文字地区は、母方の祖父母が生まれ育 った土地だった。まだ祖父母が生きていた頃、小さなメモ用紙 に昔話を綴りながら、この土地の暮らしをいつか描いてみたい と思っていた。
 二年前の春、文字で正藍染を受け継ぐ千葉家を訪ねて、藍畑や その作業工程を見せてもらった。葉を削ぐ感触、染め上げる瞬間 の色の変化、木樽から香る発酵の匂い、そばの二迫川に身を任せ るように漂う青の布。今は地域で一軒になった藍染農家で貴重な その工程に触れながら、 藍という植物の持つ力や、文字の風土、 そして語り継がれる個人の物語に惹きこまれていった。
 冬、稲刈りを終えた田んぼでは渡り鳥たちが落ちた稲穂を食 べていた。鳥たちは伊豆沼へと帰っていき、 朝日が昇るとともに一斉に飛びたっていく。水面では白鳥が頭を潜らせ、蓮根をむさぼる。種がこぼれ、夏になると、沼には見事な蓮が一面に咲く。そこには連綿と続く、 水辺で生きる人々と動植物たちの いくつもの営みがあった。
 自宅と栗原を何度か行き来する。山の植物に詳しい親戚の家 に泊めてもらって、 その度に美味しい山菜料理を味わった。岩手 との県境にある大籠地区では削り花の作り方を教わり、持ち帰っ たものを仏壇に飾った。土地を往来しながら思考する時間、そ こで得たものは日々の生活と結びついて、作品の中に現れてく る。描かれた土地の記憶に触れ、ゆっくりと思考を巡らす時間 を過こしてもらえたら幸いです。

2022.4.22(土)-8.20(日)

休館日 水・木曜日

10:00~17:00(最終入館16:30)

一般800円(18歳未満無料)

年間パスポート3,000円

~栗原焼き物化計画~

 今回の個展にあたり、栗原全体の土をさまざまな場所から採取しました。この地が何で出来ているのかそしてこの地は何で繋がっているのかを具体化するためです。
 菅原勇喜先生による栗原の伝説を読み、栗原の歴史そして人から人へ伝えられる物語と土地との関係を作品にしてみたいと思いました。
 例えば金成と言う地区には金売橘治と金鶏の物語がありました。
金成の地層をそのまま焼いて鶏を作っています。そして栗駒山は大きな地滑りで今まで地表に出ていなかったシルト状砂岩が露出しました、そのシルトはどんなものだろう、そんな興味とそれが繋いでいる地面から遥か古代の世界で起こった地殻変動、そして時の流れを想像しました。
 栗原の全ての土をまとめて一つにして焼いてみる栗原丸ごと焼きも作りました。
 焼き物と言う人類が最も古くから使っている化学、これによって人類は発展してきました。土を焼く、ただそれだけなのですが、その地面は人間の記憶の遥か昔を記憶しています。そして焼くという行為でその地面は新たな姿を見せます。地球が体験した温度で人工的に可能な温度、そして生命が存在する条件ではあり得ない温度、その中にさらしてみる事で土は姿を変えます。人の叡智をかけ離れた環境での変化です。それをみてみたいし、皆さんと共有してみたいと思っています。

浅野 友理子

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1990年宮城県生まれ。2015年東北芸術工科大学大学院芸術文化専攻洋画研究領域修了。食文化や植物の利用を切り口に様々な土地を訪ね歩き、出会った人々とのエピソ ードを交えながら記録するように描く。主な個展に、 「掏い交ぜ」 (ビルドスペース、宮城、2021 年)、グルー プ展に、 「みちのおくの芸術祭 山形ビエンナー レ2022」、「青森EARTH2019いのち耕す場所農業がひらくアートの未来」(青森 県立美術館)など。

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Access

風の沢ミュージアム

宮城県栗原市一迫片子沢外の沢11

高速道路のご利用

東京方面から
東北自動車道
「築館」I.C.下車 (I.C.から約25分)

青森方面から
東北自動車道
「若柳金成」I.C.下車 (I.C.から約25分)

新幹線のご利用

東京・青森から
JR東北新幹線
「くりこま高原」駅下車 (駅からタクシーで、約30分)

バスのご利用

最寄りのバス停(往復乗車券を購入すると、お得です)
●「築館」仙台から60分/東日本急行 栗原市金成庁舎前線

仙台 さくら野仙台店前(32番)~築館
(バス停からタクシーで約25分)

〒987-2302
宮城県栗原市一迫片子沢外の沢11
Tel 0228-52-2811
kazenosawa@gmail.com